書籍・雑誌

2022年1月29日 (土)

世界香水ガイド

いつぞやも書きましたが、香水が好きです。
とは言ってもマニアではまったくないので本数を持っているわけではなし、新作に飛びつくこともない。
折に触れて少しずつ手に入れたものを十数本所有している程度です。

 

 

香水と言うか香りが好きなんですね。花の香り、新しい本の香り、お線香からエスニック雑貨屋さんの香りまで。
一番好きなのは、雨上がりの森の木と土と湿り気の上に日が差した匂い。近くの神社の森でお参りと散歩と森林浴の時に嗅ぐと浄化される気分になります。(香水だとシダ・グリーン・ウッディ・樹脂・土のノートということになるのかな)

 

さて、話が逸れましたが最近おもしろい本に出会いました。
原書房 「世界香水ガイド」のシリーズです。
著者のルカ・トゥリン氏は嗅覚研究者にして香水マニア。パートナーのタニア・サンチェス氏とともに香水を批評するものなんですが、これがとーっても面白い。

 

香水って感じ方は千差万別、好みもそれぞれ。
細かく複雑な構成、ブランドのカラー、調香師の表現など入り組んでいて、それを言葉で表すわけですから、無茶といえば無茶。結局は「私はこう思う」というというしかないワケで、忖度なし、手加減なしでバッサバッサとなぎ倒していく様子は爽快としかいえません。

 

導入部には香水についての考察もあり、もちろんこれも興味深いですが、白眉はやはりレビュー部分。製品名・ブランド名に続いて1行で瞬殺されるもの、1ページを費やして微に入り料理されるもの、それぞれです。自分の愛用品を読むのも良し、購入前の参考に読むのも良し。
と、いうか「ガイド」とあるからにはそれが正しい読み方なのか?

 

今まで4冊出版されているようなのですが、困ったことに出版社サイトを見てもどれがどうなのかいまひとつわかりにくい。ついでに多分こう、というのを書いておきますと、

 

A 世界香水ガイド 1437 (2008年12月刊・絶版)
B 世界香水ガイドⅡ 1885 (2010年12月刊・旧版) ※Aにレビューを450点追記して2としたもの。
C 世界香水ガイドⅡ 1885 (2020年12月刊・新装版) ※Bと価格もページ数も同じ、表紙が違うのみの新装版
D 世界香水ガイドⅢ 1208 (2019年10月刊) ※内容にダブりなしの全くの新刊

 

…要するにCとDを買えばよろしい、ということですね。

 

この本を楽しむにはどんな商品があるか、その香り、ボトルデザインは、あるいは香水を構成する名称などある程度の知識があった方が面白いとは思いますが、その一方で香水に興味のない人には関係のない本かといえばそうでもなく、皮肉なものの言い回し、ユーモアやエスプリ、褒めてるんだか腐しているんだかを味わう面白さなどが好きな人にもお勧めです。ビアスの「悪魔の辞典」が好きな人やワイン愛好家、テイスティングを努める人にも面白いはず。

 

一つ問題があるとすれば、本文が白地にブラウンパープル文字なんですね。原書がそうだからなのか、装丁のオシャレさを狙ったものなのかは不明ですが「香り」や「音」って目が不自由な方も楽しむ人が多いジャンルでしょう。
奇をてらわず素直に黒文字でクッキリ印刷してくれるだけで弱視の方々も楽しめる本になるケースがあるとしたら不親切な話だなとちょっと思ったわけです。
この点、知識をもっている訳ではないのでピントのずれた感想になっていたら申し訳ないのですが、いつだったか山下達郎さんのラジオで「CDの歌詞カードがオシャレなデザイン過ぎて弱視の私には見えない。黒文字にしてくれるだけで読めるものが増えるのに」という葉書があって、それ以来気になっているのですよ。
出版社さん、次の改訂には識者に聞いたうえでご一考を。(そしてまた本の種類が増えて混乱すると)

2022年1月20日 (木)

「MUSIC MAGAZINE」と「MUSICA」

あけましておめでとうございます。(今頃?)

通勤電車の混み具合が日ごとに緩和されて来ました。またオンライン業務の比率が増えてきたのだと感じています。
その割に車内やエレベーター内の大声のおしゃべりはなくなりませんなぁ。ちょっと恐い。

さて、開店直後の書店に飛び込んでOriginal Love特集の雑誌「MUSIC MAGAZINE」とインタビュー掲載の「MUSICA」を買って来ました。
本当は普段から良く読む「MUSIC MAGAZINE」だけでいいかと思っていたのだけど、「MUSICA」も手にとってみたらボリュームがあって読み応えアリそうあったので一緒に購入。
楽しみです。

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2021年11月28日 (日)

図書館本リサイクル

断捨離というほどではないけど、なるべくモノを持たずスッキリ暮したいと思っています。
が、その思いに水を差すのが「本」です。
図書館もありがたく利用させてもらいますが、基本返却日を気にしないでゆっくり読みたいのでどんどん入手して積み上げておいた中から気分に合わせて読むという形にしているので溜まる溜まる。

 

それらは年に数度ドカっと処分することにしています。手元に置いておくのは再読したいもの、好きな作家のもの、絶版になっていて入手が難しかったものにしていて、後は紐をかけて資源ごみの日に涙を呑んで出しています。
でも切ないんですよ。
私は読むときに飲食しないし、折り目をつけたり書き込んだりしないのでまだまだ綺麗な本。
だれか本好きさんがゴミ置き場から持って行ってまた読んでくれないかなと背表紙をそろえて目をつけやすいようにして出しているのですが結果は知りません。正直言ってもったいない。
不用品をガレージにだして「ご自由にお持ちください」というのも考えましたが、読書傾向がご近所に丸わかりなのもはばかられます。

 

 

…この話、ここまでが前提です。

 

わが町には小さな図書館があります。職場の近くの巨大図書館と使い分けてお世話になっています。
入り口に「リサイクル本コーナー」と表示のある本棚があって、図書館の不要本を数冊もちかえっていいことになっています。
私もこれまで食や衣服、美術に関する本など何冊か頂いてきました。

 

先日、ここから頂戴して持ち帰った本をよく見てみると必ずある図書館の背ラベルがない。
表紙裏に必ずおしてある「リサイクル本」「除籍本」などのスタンプもない。
そういえば妙に新しく、何人もが読んだ本に見えない。
これはどこかの善意の人がスタッフさんの目を盗んでそっと「リサイクル棚」に置いていったものだと気づきました。

 

いや、私も処分する本をここに置けたら、そして同じように感じているどこかの本好きさんの不要本を読ませていただけたらと思ったことはたしかにあります。本好きの間で好意で行われるリサイクルってエエやんと思ってました。
でもでっかく「家庭の不要本をここに置かないでください」と書いてあるんだもん。

 

理由は色々あると思います。
例えば「なんでもかんでも持ち込まれてゴミ置き場になっては困る」「管理は誰がするのか」「置いたけどやっぱり返して、などのトラブル防止」「公序良俗に反する本を置かれては困る」「特定の宗教活動・政治活動・思想の啓蒙場所になる可能性がある」とかかな。公的施設としては当然だとおもいます。
でもねー、正直おっ。やったな。同じことを思っていた人がいる(ニヤッ)としたのです。

 

この出来事に触発されて後、実は20冊ずつくらいこそっと持ち込んで、3回ほどやってしまいました。万引きではなく置いてくるのは万押しって言うらしい。
不法投棄にあたるのかな、見つかったらなにか言われるかな、「あっ、ダメなんですかぁ♪」と可愛く逃げようかなとドキドキしましたがなんのことはない、人間慣れるものです。

 

一度目は置いたすぐ後に入ってきた70代くらいの男性が「おっ♪」となったのを見ました。
その次は退館時に40代くらいの女性がしゃがみこんで品定めしてくださっているのを見た。
で、今日もやった訳ですが、置いているまさにそのとき、図書館スタッフさんと目が合った!ら、さりげなーく見なかったフリをされた!
ん?あれ?…大丈夫、なんでしょうか。お目こぼしってコト?
よくわからんが確かに「ワタシは見てませーん」という感じだったので、アリではないがご勝手にやる分には知らなかったことにしてあげましょう程度の感触なのかな。
えー、ちょっと安心した。またやるかも。でもよい子はマネをしないように。

 

2020年2月16日 (日)

直木賞受賞エッセイ集成

「直木賞受賞エッセイ集成」(文藝春秋)という本を読んでる途中ですが、これ滅法面白いです。
タイトルからわかるとおり、直木賞受章直後の作家に依頼された20枚の記念エッセイ集で、平成十二年下半期以降の36本で編まれています。
超多忙且つ多分精神的にも普通ではいられない中の執筆だと思われますが、やはりこういう状況でこういう内容の原稿は皆さん力が入るのか、なんと言うか圧が凄い力作の数々が読めます。

 

世間の注目も高く、新しい読者をつかめるかどうかの節目、人生におけるいくつかの山のひとつの頂上にいる状態でかかれた自伝エッセイですから、そりゃあ力作も揃うというものです。読み応え充分、おすすめ。

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我がご贔屓、奥田英朗氏は当時受賞作の主人公と奥田氏の架空対談を書かれたそうですが、この本への再録は恥ずかしくてお断りになったとか。
ところが「断ったらエッセイが載らないのはあなただけ」という状況になり、十年後に新規に書き改めたものが載っています。この柔軟なのか頑ななのかのわからなさ、大好きですね。

 

ところで、松井今朝子氏のものを読んでいて思わず驚きの声をあげてしまいましたよ。
何作か拝読しているものの、プロフィールについてはあまり存じ上げず、たしか松竹にいらしたんだよなぁという程度の知識しか持ち合わせていませんでしたが、このエッセイを読んであそこのお嬢さんかと知り、それなら見てきたもの、会ってきた人もそれなりで、あの独特な江戸の雰囲気の描写はこのあたりにも秘密があったのかと膝を打ちました。
憧れの諸氏のお名前が登場する演劇畑のキャリアの話も大変面白かったけど、『ぴあ歌舞伎ワンダーランド』の監修をしたという点が一番の驚き。
この本、私がまだまだ歌舞伎初心者だった頃に(今もそう変わらんが)ずいぶん助けられた1冊だったんですよー。
演目解説、写真の多さ、独特な表現の解説からあれこれまでカユいところに手が届きっぱなしの内容で、面白くて実用的な一冊なんです。
まだ手元に持っているので書棚の奥からひっぱりだして見れば、奥付にはあらほんと「監修 松井今朝子」の文字がありましたとも!へえぇ。

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「直木賞受賞エッセイ集成」は巻末に直木賞受賞回のデータと受賞作家のプロフィールが載っている点も親切な一冊。
今まで読んだことのなかった作家の作品もこの本から辿れそうです。

 

2019年10月 2日 (水)

「栗本薫と中島梓~世界最長の物語を書いた人」里中高志

栗本薫をはじめて読んだのはいつだったか。多分高校に入って親しくなった友人が「グイン・サーガ」を教えてくれたんじゃなかったかな。
既に何巻か出ていたのを読んで、そこから他ジャンルの作品群をさかのぼっていったように思います。
友人はやおいモノと言われるものも好きでしたが私はそちらはまったく受け付けず、代わりに伊集院大介シリーズや「ぼくら」シリーズが大好きでした。

 

一人の人がこんなに色んな種類の作風で、芸道から時代もの、ミステリにエッセイと送り出すのがホンマかいなという感じで、なんという作品でしたか、一冊に編まれた中篇小説数本が全て違うジャンルというものすごいものまでありました。
※※

 

作品の面白さはもちろん、私はこれを書くのだと発散する熱量に惹かれてこちらも「読まされる」という感じ。引きずられる快感、翻弄される喜びといいましょうか。

 

そのうち読書傾向が広がったこともあり、段々作品から遠のいていってしまったのですが、高校生時代の私のアイドルの一人であったことは事実です。

 

お芝居に傾倒されていったのがちょっと不思議でねぇ。
紙とペンであれだけの世界を紡ぎだす人が、いくら才能豊かとは言え、まったくの畑違いに手を出さなくてもいいのに、その分グインがなんだか面白くなくなってきたなと70巻くらいで手が止まってしまったのが我ながら残念でした。

 

 

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その栗本薫/中島梓の生涯を著作と取材から検証したという一冊です。大変に面白かった。
著者がファンであり、それゆえに冷静にきっちりと書き込んだ素晴らしい評伝です。

 

呻吟して物語をひねり出す作家なのではなく、ほとばしるものを書き留める、熱に浮かされるようにただ異常に集中して書く。
中島梓と栗本薫はただのペンネームというのではなく、別人格なんじゃないかと思われるほど。ご自身も多重人格を意識していた。
怒り出すと何時間も途切れず声が枯れ、へとへとになるまで怒ったり、人と親しむ一方で難しい人だといわれ、稼ぎを芝居に注ぎ込み、
集中が妨げられて半狂乱になる…あぁ、そうだったんだろうなと腑に落ちる一方、さぞ辛かっただろうなと思わずにいられませんでした。

 

栗本薫/中島梓の著作は大量に残してあります。また読み返したくなって来ました。

 

それにしても、高校生の時に文芸部の雑誌に掲載した「産婆」という作品の概要の鋭さ、早熟さよ。

 

※敬称略
※※今書棚から引っ張り出して来ました。「十二ヶ月~栗本薫バラエティ劇場」。小説新潮82年1月号から12月号まで全てジャンル書き分けという企画モノ。
突然思い出したが、このなかの七月のイメージが竹宮恵子だと友人と盛り上がったのでした。 

2019年9月11日 (水)

奥田英朗「罪の轍」

新刊を常に楽しみにしていて、店頭で手に取ったら躊躇せずレジに走る作家とライター。
私の場合は桐野夏生・桜木紫乃・島崎(正確にはたつさき)今日子・そして奥田英朗の各氏かなぁ。
ハズレなしです。

 

と、言うわけで買いました奥田英朗さんの新刊「罪の轍」。
設定を読んで「オリンピックの身代金」の副産物かしらとチラッと思いましたがどうでしょうか。

 

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紀伊國屋書店に立ち寄ったらサイン本があったのでついそちらを手に取りました。
明日からの通勤の友じゃ。楽しみ!

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※後日追記

「オリンピックの身代金」の副産物か、なんて書きましたが、捜査一課の同じ顔ぶれの刑事さんたちが登場し、姉妹編(?)だと気づきました。「罪の轍」の方が「オリンピックの身代金」より少し前の出来事で、小さなエピソードがちゃんと繋がって描かれています。
それぞれ独立した作品ですが、奥田ワールドファンにはそういう楽しみもあります。
私は前作で仁井刑事贔屓だったので、また会えて大変うれしい。

とにかく無茶苦茶面白いです。
全編に漲るテンションがいささかも揺るがずクライマックスまでグイグイ引っ張られます。
私はこの数日、電車を乗り過ごしそうになり、仕事中に続きが気になりソワソワ。そして最後の数十ページは帰宅後上着も脱がずに一気に読了しました。

実際の事件がモデルになっているものの、もちろんあくまでフィクションです。
ミステリとしての手ごたえとともに、警察組織、山野の左翼活動、反社会勢力を描写し、時代を織り込んで圧倒的な作品です。
エンタメというのはこういうモノだというお手本の一冊。

緊張感の中に時々フッと笑ってしまう表現あり、その辺りもさすがの奥田節でした。

で、また「オリンピックの身代金」を読み返す楽しみが出来たわ!(エンドレス…)

 

2019年2月13日 (水)

雑誌penに田島貴男さん掲載

雑誌pen、2月15日発売の3月1日号「ライカで撮る理由」。
この特集ならあの方のお名前があるのでは…とよーく見たらやっぱり。
“あの写真集の傑作で、ライカが心に刻まれた”という記事にORIGINAL LOVEの田島貴男さんが登場ですよー。

よく見たら表紙にもいらっしゃいません?

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ニューアルバム『bless You!』はあろうことか発売日の今日まだ届かず。
なるべく白紙に近い状態で聞きたい派なのでなんやかんや我慢して待ってるんだけどなぁ。
やきもきしながら配送状況を見れば、どうやら今夜は近所の郵便局でお泊りしてることが判明。すぐソコにいてるやん!取りに行きたい!

※2月14日追記
関西は早売りとなる雑誌が多いので本屋さんによってみましたがpenはまだ入荷せず。
で、ようやくアルバムが到着。12月2日の注文でも発売日に届かないの~と昨日は不満タラタラでしたが、ランダム封入のポストカードが一番欲しかった鳥のものなので機嫌が直りました。単純。

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2019年1月28日 (月)

改題と誤植

電車に乗ってさっき古本屋さんで買ったばかりの文庫本を数頁読んで
「あ、またやってしもーた」と気づきました。
この本、単行本で持ってる…2冊目やん。

 

同じ本を2冊買うという失態を稀にしでかしてしまいます。
図書館で読んだことを忘れて買ってしまうとか、数冊組のものを巻数ダブってしまうとか、そしてこの本のように「改題」されているのに気づかない場合とか。一番ガッカリするのはこの改題に気づかなかったパターンです。

しばらく読むまで気づかない自分の頭の出来を棚に上げて言いますが、改題する場合ははっきりとわかるようにしてくれ。
表紙とは言いませんが(親切なものは表紙にだって書いてありますがね)
扉裏か、中表紙くらいには明記して欲しい。
でないと「2冊買わせよう作戦」のためにわざわざ改題したと解釈してしまいますよ。

 

この本、単行本の「さらば勘九郎」が幻冬舎から2005年3月初版発行、
文庫本が「勘三郎、荒ぶる」として幻冬舎文庫から2010年2月初版発行でした。改題の断りは後ろに小さく載ってるのみ(怒)

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まぁ、古本屋さんで買ったわけですし、そう怒る権利もないといえば無いんですが、うーん、やっぱり悔しいわ。
悔しいついでに書いてしまうと、単行本での誤植が文庫になっても直ってないっ。

 

勘九郎(当時)と野田秀樹氏との関係に頁が割いてあり、何度も何度も劇団名が出てくるのだけどそれが全て「劇団 夢の遊民社」になってるのよ。
言うまでもなくこれは「劇団 夢の遊眠社」で、あなた、そんじょそこらの劇団じゃありませんよ、80年代小劇団ブームの中心劇団であり間違いなく現代演劇の礎たる劇団のひとつですよ。
まだある。
六代目笑福亭松鶴のルビが「しょうかく」となってて、これも当然ながら「しょかく」で、なんで著者(小松成美氏)のゲラチェックも出版社の校正もパスしてしまったのか唖然としたので読んだ時にメモして単行本に挟んでおいたのです。(性格悪し)

 

で、これは単行本初版なので無理して目を瞑るとしても、文庫を確認したらまだ直ってない。どうなってるんだ。
なんだかもう2冊買ってしまったことへのムカツキがどこかに行ってしまいそうですが、そもそも改題にひっかからなければこの雑なつくりにも気づかずに済んだ訳ですからおさまりがつかない。本ってこんなに杜撰に作るもの?幻冬舎って本を愛しているように思えないことが自分の経験上多すぎる。

 

救いがあるとすれば、文庫にはジェームズ・リプトン氏(『アクターズ・スタジオ・インタビュー』の素晴らしいインタビュアーの先生ね)
と勘九郎の対談および宮藤官九郎の解説が載ってます。

2019年1月19日 (土)

「僕が骨髄提供をした理由」 木下ほうか

1~2年前のこと、骨髄ドナー登録を呼びかけるポスターに俳優の木下ほうかさんの写真を見たことがありました。総合病院の掲示板だったかと思います。
そこにはご自分がドナーを経験したことが書いてあり、かなり驚きました。

尊い行為だけど、あれは思いつきで簡単に出来るものではないはず。
時間的拘束もあるし、痛みもあると聞いたことがあります。相当ハードルの高いことをされた動機を知りたくて木下さんのブログにたどり着きました。
長年続けている投稿に埋もれるように、つまり特別なこととしてではなく日常の延長線上にあるかのように手術時の写真などを公開されていて、こういう一面をお持ちだったのかと感じ入りました。
ただ、あちこち読んでも「なぜ提供者になったか」という記述は見つけられず、そのままになりました。

さて、月日は過ぎてつい先日、図書館でこの本をみつけ、すぐさまお借りしてきました。「僕が骨髄提供をした理由」木下ほうか。2018年11月刊の新刊です。

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一度は偽善的行為だと見られることを嫌い出版を断ったそうですが、医療者や患者さん側のことを書いた本はあってもドナー側に立ったものはほとんどないことを知り翻意したとのこと。

ご本人のこと、登録から提供までのことに加えて、これも長く続けておられる献血と提供の流れについての公式な記載で構成された本です。
割合あっさりとした記述でもうすこし書き込んでいただきたい箇所もありましたが、移植本番へ数度のチェックを経てゴーサインが出て、患者さんも準備をはじめ、もうなにがあっても後戻りできない部分の緊張感などはこちらにも伝わってくるようでした。

前述の「なぜ提供者に」という部分もタイトルにあるようにきちんと書かれています。私が恐いと感じていた痛みについては、木下さんはなかったとありました。個人差があるようです。

私は献血もドナー登録も条件を満たせないので、こういう本を読むと申し訳ないような気持ちになってしまうのですが、あいまいだった知識が修正され、色々考えるところがあったのは良かったと思いました。

そして日本骨髄バンクのHPも読み、私のような人は募金という形で協力できることも知りました。
今まで募金は日本赤十字のみと決めていたのですが、これは覚えておこうと思います。へぇっと思ったのは不幸ごとの香典返しを寄付にかえることができ、その場合はお礼状を日本骨髄バンクの名前で準備して下さるようです。
あ、これ知ってたら良かったな。私のときはぜひそうしてもらおう。

この本、読んで良かったら「貸して」あげてね、とあるのにお人柄を感じました。木下さん、いい俳優さんですよね。脇にいてもちゃんと自分の爪あとを残す方です。

2019年1月 5日 (土)

旭屋書店天王寺MiO店が閉店…

私は今日から仕事です。
まだまだお休みの人が多いのか電車が空いてました。

さて、活字中毒者としてはお休みが終わったらとりあえず用事はなくても本屋です。
一番良く行く天王寺ミオ(と、いう名前のショッピングビルです)の旭屋書店へ行きましたらなんと2019年1月6日をもって閉店の張り紙があちこちにありました。ショック…。

実店舗で本が売れなくなったと聞いて久しく、蟷螂の斧とわかっていても出来るだけネットは使わず本は本屋さんで買うように心がけていたのですが、またひとつ身近な本屋さんが消えることになりました…。

この界隈にはくまざわ書店が2軒、ほかにジュンク堂書店、喜久屋書店、個性的なところだとスタンダードブックストア、ヴィレッジヴァンガード、なんならアニメイトもブックオフもあるんですが、立ち寄りやすさと品揃え、陳列の相性などはこの旭屋さんがいちばん好きだったのです。
どこになにがあるか、陳列のクセみたいなものもわかっていて、本当に探しやすくて買いやすかった。

雑貨ショップを併設し、それがなくなったとおもったら文具コーナーを併設し、突然ルートート大量入荷したりで、ちょっとそのあたりに迷走を感じていましたが、大手さんだし、天王寺で長年営業されていることもあり、まさか撤退されるとは思っていませんでした。
うーん、残念。

今日は一日仕事をしながら
図書カードいっぱい包装してもらったなとか
取り寄せや取り置きも気持ちよくしてもらったなとか
買い物ついでに貰う「図書」や「本」「青春と読書」「本の旅人」なんて出版社のPR誌がうれしかったなとか
ミオカードのポイント、もう貯められへんわとか
色々考えてしまいました。
あぁ残念。

※1月15日追記

旭屋書店のあとには紀伊國屋書店が入る模様。3月オープンとのこと。
とりあえず本屋さんでほっと安心。文具併設だそうです。

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