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2016年10月13日 (木)

「パイドパイパーデイズ 私的音楽回想録」 長門芳郎

長門芳郎さんの「パイドパイパーデイズ 私的音楽回想録 1972-1989」を読了。なんだかもうすごいお話と名前がザクザクと登場して、読みながら興奮続き。知恵熱が出そうでした。

70年代、80年代の東京を中心とした音楽回顧録です。
長門さんは70年代はシュガー・ベイブ、ティン・パン・アレーのマネージャー、
80年代以降はレコード店パイドパイパーハウスのオーナーと初期のピチカートファイブのマネージメントを手がけつつ海外アーティストの招聘・プロデューサーなどを行った方。(こんな説明でいい?)

さらっと描かれる出来事ひとつひとつになんかもうクラクラします。
今まで、ミュージシャン、アーティストのインタビューやラジオ番組などで断片的に語られているのを耳にしたり、交友を知ったりしてなんとなく
「この方とこの方は旧知のご関係なんだな」と想像したり、
「たしかなにか一緒にされた同士なんだっけ?」などと曖昧に捉えていた出来事が「あ、そーいうことだったのね」「え、こんな昔からのご関係!」「この人ともかかわりがあるのか」と読んでいる間中驚いたり納得したりの連続でした。

中には記憶にあるエピソードもありましたが、当事者の口から時系列で語られるとこれまた説得力が違います。
当時の東京の、音楽を通したキラキラした空気。
宝物の入った缶のフタをそーっとずらして中身を覗かせてもらったような感じ。

個人的に特に印象的だったのは
ティム・ハウザーの人となりが伺えるお話と
山下達郎さんと佐橋佳幸さんが初めて一緒にプレイしたきっかけのお話でしょうか。

ミュージシャンだけではなく、スージー甘金、景山民夫なんてお名前もチラッと登場します。

私の好きなミュージシャンお三方、山下達郎、矢野顕子、田島貴男各氏の若い時代のほほえましい描写は読んでいてつい笑顔になってしまいました。

後半は海外ミュージシャンの名前が多く登場します。
私としては達郎さんの「サウンドストリート」や「サンデーソングブック」で聞いて知った名前が一杯出てきました。
そして、ピンと来ないアーティスト名も、欄外の解説を手がかりについ探して聞いてみたくなる、レコードガイドとしての面もある本です。
(その時は長門さんのお勧めに従って、できるだけショップに足を運んで探さねば)

後ろ三分の一はパイドパイパーハウスの雑誌出稿広告を収録。
これも丹念に見ていくと内容も楽しめますし、デザインの変遷も興味深いです。レコードの予約に葉書を送っていたんだというのんびりした時代も知ることができます。

自分がポツポツと買い集めたり誰かに聞かせてもらったレコードって、知識としては78年のものとか80年のものとかだと知っていても、初めて聞く自分にとってはあくまで「新譜」みたいなものだったりします。
それが、この広告の中で手書き文字で紹介されていたりすると、この年に世に出たんだと実感できるような、その時代を追体験できるような感触を得られました。

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文中に登場する出来事を写した写真も収録。
パイドパイパーハウス閉店の日に駆けつけて、丸太の上で「夜をぶっとばせ」を歌う細くて薄い体つきの田島青年の(23歳?)姿も見られます。いい写真。

謝辞には“Rest In Peace”(安らかに)として佐藤博さんや宮田繁男さんのお名前もあります。
この方たちとのお話も伺いたいと思うけれど、長門さんはあえて詳しく語られなかったのかも知れません。

ともあれ、読んでいる間ずーっと幸せを感じられた一冊でした。

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