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2016年5月16日 (月)

蜷川幸雄さん

蜷川幸雄さんの訃報を聞いて以来、拝見した舞台を思い出しています。
何本も見ていますが、中でも印象深かったのが3本。

「仮名手本忠臣蔵」
新神戸オリエンタル劇場のこけら落とし公演でした。
パンフレットを出してみたら、チケットがはさんであり88年の10月のことだったと確認できます。
忠臣蔵の全段上演で、当然とても長かった。
今思うと、群集処理や絢爛たる色彩や物語のスピーディーさなど、蜷川演出の特徴がとてもよく出ている舞台だったように思います。
こけら落とし公演だということで、観客の望む「ザ・ニナガワ」を見せてやろうという意図だったのかも知れません。

戸無瀬と小浪の道行で天井から椿(多分)の花がポタリポタリと落ちてきたことを覚えています。
赤と白と黒の場面。これからの悲劇の暗示だったのでしょう。綺麗なシーンでした。
鳴き女が登場して、その中で物語が進んだと思います。これはコロシアムを意識したのかシェイクスピア演劇のようでした。
死に向かって突っ張る「忠臣蔵」だと思った記憶があります。

「身毒丸」
藤原竜也さん目当ての観客が多かったと思いますが、私はどちらかというと白石加代子さん目当て。
アングラのあのムズムズするような魅力を商業演劇に変身させ、エネルギッシュで素晴らしい舞台でした。
蘭妖子さんが素敵でした。後に思わずDVDを購入。
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そして、テレビ観劇でしたが「なぜか青春時代」
別れた仲間たちと約束した15年後の再会の為ビアホールを訪れる女。そのビアホールの女主人。学生運動への追憶。
そりゃもう夏木マリさんと松本典子さん(アイドルの方では無くて、木冬社の松本さんね、作者の清水邦夫さんの奥様)がすごすぎました。

この作品に感化されて作中印象的だったホイットマンの詩集を買い「草の葉」を暗誦するわ、劇中ここぞというシーンで流れる(ほとんど反則ワザ)プロコル・ハルム「青い影」を聞いては陶然とするわのハマりっぷりでした。恥ずかしい。
でも、今でもこの曲を聞くと劇中世界に引きずられるようです。

去年、寺島しのぶさんのブログで、蜷川さんが車椅子に乗っているお姿を見てあのパワフルな方がと胸が衝かれる思いでした。
ご本人も無念でしょうが、残った演劇人の皆様の喪失感もいかばかりかと拝察します。
たくさん楽しませていただいてありがとうございました。
名も無き観客の一人からお礼を申し上げます。
ご冥福をお祈りします。

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