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2015年10月 1日 (木)

「田舎でロックンロール」奥田英朗

ロック好きの作家、奥田英朗さんの少年時代からの音楽遍歴を書いたエッセイ「田舎でロックンロール」。
ひゃー、面白かった。
奥田さんの作品は、小説だけでなくエッセイも大好き。
この方の偏屈さや天邪鬼具合に共感しきりで読破してしまっています。
中でもこのエッセイは奥田さんが偏愛する「ロック」へのあれこれを書いたもので、その愛ゆえか毒の吐き方やあばれっぷりがいつもより濃いみたい。
暴走気味です。
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私自身の音楽の好みと比べると奥田さんはハードロック寄りですし、世代的にも少し上なので体験してきた音楽にもズレがあります。
加えて奥田さんはむちゃくちゃ詳しい方ですしコレクターでもあります。
私など足元にも及びませんが、いい音楽を聴いたときの高揚感やもっと聞きたい、知りたいというオタク気質は音楽好きなら皆持っているものなので、読みながらうれしくて共感しまくりました。

ラジオから音楽を知り、田舎住まいでレコードショップ通いもままならず、なにより先立つお小遣いに事欠く奥田少年。
それはそのまま私の少女時代とかぶります。
「なんで学芸会を見なきゃいけないんだ」とアイドルに興味が無く、ミュージシャンの横のつながりに気がついてほくそ笑む少年像は
松田聖子ちゃんの姿よりも、その作曲がユーミンだったり、大瀧詠一さんだったりすることや、ギターが鈴木茂さんだったりすることに興味が向く少女時代の私を思い出します。

雑誌「オリーブ」を愛読し、「萬流コピー塾」を読み、ナンシー関が大好きで、サブカルチャーまっしぐらで自意識過剰なのに、いざ短大進学で大阪に出てみればキラキラした同級生に劣等感満載だった昔の私…。
ああもう、奥田さんなにを思い出させるんですか。赤面して恥ずかしさのあまり叫びたい記憶が音楽とともに出て来てしまったじゃないですか。
気を取り直そう。
一章ごとに奥田さんピックアップのアルバムとコメントがはさみこんであり、ラストにボーナス・トラックとして音楽少年短編小説がついている仕立ても洒落ています。
そして、描かれているミュージシャンやアルバムのうち、手元にあるものはまた聞き直したくなり、未聴のアルバムや名前すら知らなかったアーティストには興味を掻き立てられます。
そのうちいくつかはYouTubeで聞いてみたのですが、中でも奥田さんの熱量の多かったマイク・フィニガンというミュージシャン。
Let Me See The Light 」をお言葉に従って試してみたらシビれました。ぜひ。

音楽好き好きという濃い話の中に、音楽ライターさんや評論家が書いたものには見受けられない、作家ならではの視線が散りばめてあり、そこはさすがです。
自分の好きな今現在のミュージシャンや音楽業界に通ずるものもあり、読みながら色々考えましたね。うん、いいエッセイだ。
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ロック親父として野外フェスに初めて参戦した体験が書かれている「用もないのに」収録の「おやじフジロックに行く。しかも雨…」も合わせてお勧めです。

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